旅立ち~過去との決別~
─人はいつも選択し、選択する前に戻ることができないという不可逆的な時間のなかに生きている。─
そんな普遍的なことから考えると、いつも我々は過去の経験などからある行動にたいして、しばしば「迷い」を起こす。
そして、誰でも人生のなかで大きな転機となる「決断」をする。こんな大層なことをいっている私ももちろんとても重要な迷いを振り切り、決断ということをしている。しかし、それは今より少し過去に遡ることになる。
私はいつも誰かの後ろについて歩いていた。だが、その生き方は、ひとつの節目によって見直さなければならないときが来た。
そうそれは大学受験だ。
中学は受験せず、そのまま地域の中学校に行き、高校も近くにあるからという理由で地域の高校に進学した。
そして、そこで文理選択があったのだが、それは私ではない家柄というものが理系を選択した。
こうして、作られた道の上を歩いていれば、自分ではなく、その環境やそうさせた周りのせいにでき、いつでも逃避することができた。
なので、そうして生きてきた私は、受験期に差し掛かると自分の道を振り返らなければならなくなるが、振り返ってみるとそこにはなにもなかったのである。
友達は多く、部活は運動部に所属し活発的であったし、いつもまわりには誰かいた。
しかし、そこに落とし穴があり、私は自分を語ることはせず、友達の自慢話をしていて、そうして、そんな友達を持っている私はすごいのだと勘違いしていた。
たしかに、友達はすごいが自分には何かあるのかと尋ねられるとなにも返す言葉がない。
そして、自分のクラスは進学クラスであったため、そこにいる自分もいい大学に行けるのだと勘違いし、身の丈にあっていない大学を受験した。
もちろん、結果は残念なものとなり、さらに、学費のせいもあって理系をあきらめ文系に転身し、最終的には目標としていたレベルよりも低いところで落ち着いたのであった。
そして、プライドだけはいっちょ前に高かった私は、目標とのあまりにも差があるその大学が決まってから本当に自殺を考えるほど悩んだ。
しかし、そこで高校三年で担任だった先生の身の丈よりもすこしレベルの低い大学で奨学金ねらいで頑張るという道もあるという言葉を思いだし、私はそれを決意する。
しかし、いままでの整備・舗装された道をだらだらと歩むという生き方をしていた私にとっては生まれて初めて誰にも介入されることなく自分で決めた選択であった。
こうして、私は決まった道を上を歩んでいた過去から卒業し、私は「未知なる未来へ旅立った」のである。
~そしてその決断から4年~
いまはそうして大学生活4年目になるのだが、本当にあの旅立ちの決意はいまではできるものではないと思う。
だが、旅立ちの後は清々しく、新しい未来に向かって歩くのは本当に楽しいもので、今は道なき道をあるく私は挑戦の連続で、しんどくも充実した日々を過ごしている。
昔の私はそんなことを思ったことはなく、何となく過ごす日々に違和感を覚えていた。
人はいずれ何かしら「旅立ち」という時は来る。
そこで、何を得て、何を失うのか。
そうして、損得勘定をしながら、出来るだけ得るものが多い選択をする必要が出てくる。
さらに、人間は動物とは違い、その場の感情だけに左右されるわけではなく、未来のことを考えて行動することが出来る。
だが、そうとはいっても、時間は一定方向に進んでいて、その進行に抗えない私たちは過去と決別し、未来に向かって旅立つのは簡単なことではない。
しかし、そんな状況にあっても、そのなかで最良の選択をし旅立つことを強要されるのである。
散々、述べた私であるが、ご多分に漏れず、今日も今日とて、私はこのコンテストに参加し挑戦することで過去の自分から旅立つことをするかどうか「迷」うことを振り払い、応募することを「決断」をしたのであった。
Sponsored by イーアイデム